作品概要
スタン・リー、長濵博史原作、長濵博史監督によるスタジオディーン制作のアメコミヒーローアニメ。
スタッフ・キャスト
- 公開
- 2017年
- 原作
- スタン・リー、長濵博史
- 監督
- 長濵博史
- シリーズ構成
- そ〜とめこういちろう
- 脚本
- 鈴木やすゆき
- キャラクターデザイン
- 馬越嘉彦
- 出演者
- エクスオン:三木眞一郎、イアン・イゼット、アイガイ:三上 哲、エレノア・エヴァーツ:伊瀬茉莉也、リサ・リビングストン:花村怜美、カナエ:吉井香奈恵(9nine)、ヒロナ:村田寛奈(9nine)、ウキ:佐武宇綺(9nine)、サヤカ:西脇彩華(9nine)、デッド・ウィング:樫井笙人、フレイミング・フューリー:三瓶由布子、スティール・ルーラー:日笠陽子、ミスターミスティック:西村知道、レイス:宮田幸季
- 音楽
- トレヴァー・ホーン
- アニメーション制作
- スタジオディーン
感想・レビュー(ネタバレあり)
スーパーヒーローが多数登場するも物語の規模はどんどん小さくなっていき…
序盤のエピソードでは壮大なネタ振りが行われて、特殊な能力を持つヒーローのキャラクターや提示された謎に興味をそそられる。しかし、話数を重ねるごとに物語の規模が小さくなっていき、やがては内省(ないせい)的なエレノアという女の子の個人の問題にまで縮小してしまう。せっかくヒーローがたくさんいるのに、辛気くさいエレノアがクローズアップされ特別な役割を与えられていく展開には落胆させられた。
敵側のリーダーにまつわる物語や見た目は、日本の古いRPGにありがちなラスボスのようで新鮮味が無い。
今作のサブカルを目指したような一風変わった作風は、第一線に向かっていないという意味では目標が低いようにも見えてしまう。
作画はアメコミを切り出したような独特のタッチの絵で描かれる
作画はベタ塗りで単純にも見えるような絵だが、品質が安定せずに主役格のエレノアのアップさえ出る度に別人のように見えてしまうぐらい低いクオリティー。日本のファンに受けが悪そうなアメコミを切り出したような太い線の独特のタッチの絵で描かれているが、一般的な日本アニメのような絵でもこの物語の良さは表現できたように思う。
アクションの作画には特別良いところは無いし、一部のキャラクターをのぞいて制約が少ないヒーローたちの能力はなんでもありに見えるため、戦闘シーンに迫力が足りなかった。
ヒーローたちのキャラクターデザインは良い。人物の顔のデザインは日本人向けで女性キャラも可愛い。それだけに日本の女子高生4人組「ナインスワンダー」の変身後の姿は目の部分が隠れてしまっているのがちょっと残念。
低予算映画のようなあり得ない描写が多数存在
人物たちの台詞がつたなく、脚本には粗が多い。館に匿われていたリフレクティッドたちが生活感無くひとつの部屋に集まっている様子には、低予算映画でも見せられている気分にさせられる。敵側のリーダーはアレンたちの力をなぜ知り得たのかなど、疑問が残る点も多い。その独特の作画のせいなのか、わざと下手に作っているようにも見えてくる。
作品全体のテンポは悪く、時折挿入される過去のシーンのフラッシュバック演出がその傾向に拍車をかけている。
IT考証が雑。他人のパスワードは、聞いて入力するのではなく本人に入力させるべきだ。敵側のリフレクティッドに渡されたUSBメモリを機密機関の端末にうかつに差し込んではいけない。悪意あるプログラムを仕込まれている危険性を考慮して慎重に振る舞うべきだ。
劇中歌「SKY SHOW」は出色の出来・9nineも健闘
トレヴァー・ホーンによる劇中歌「SKY SHOW -スカイショウ-」が出色の出来栄え。9nineによるエンディング曲「SunSunSunrise」は思わずくちずさんでしまう歌詞が冴えている。彼女ら自身によるナインスワンダーの吹き替えも悪くなかった。ナインスワンダーは登場を最後まで引っ張った割にはほとんど活躍しなくて拍子抜けしたが。