作品概要
フランク・キャプラ監督、ジェームズ・スチュワート主演のヒューマンドラマ。不正をはたらく政治家たちの傀儡(かいらい)として政界へと担ぎ込まれた若者と、若者の前に立ちはだかる政界の腐敗という現実との戦いを描く。
スタッフ・キャスト
- 公開
- 1939年
- 製作国
- アメリカ
- 監督
- フランク・キャプラ
- 脚本
- シドニー・バックマン
- 原作
- ルイス・R・フォスター 『ミネソタから来た紳士』
- 製作
- フランク・キャプラ
- 出演者
- ジェームズ・ステュアート、ジーン・アーサー、クロード・レインズ、エドワード・アーノルド、ガイ・キビー、トーマス・ミッチェル、ハリー・ケリー
- 音楽
- ディミトリ・ティオムキン
- 撮影
- ジョセフ・ウォーカー
- 編集
- アル・クラーク、ジーン・ハヴリック
感想・レビュー(ネタバレあり)
秘書が法案づくりをレクチャーするシーン、スミスが秘書を前に法案への想いを語るシーンの演者の掛け合いが良かった。秘書がスミスを励ますシーンや「愛してる」の文字などにも目頭が熱くなる。秘書役のジーン・アーサーがその役柄と相まって特別な魅力を放っている。ジェームズ・スチュワートが若くて、演技にも引き込まれる。クライマックスにはスミスの父親の死の真相に関して一悶着あるかと思っていたのだけれど、何もなくて拍子抜けだった。最後は唐突に終わるので、現代の作品に慣れている身としてはもう少し余韻を味わえるような編集にして欲しいと思った。
スミスが議員として招集されるくだりが省かれているなど、クラシック映画にありがちなざっくりとした台本からくるテンポの良さがある。コメディー部分は古い作品なのにすでに完成していて、それだけに少ししつこいと感じる部分もある。少し天然の正義漢という日本のドラマなんかでもよく見るありがちなキャラクターはこの頃にすでにあったのか。子役がなかなか存在感を示していていい。議長の笑みの演技は口を開けるほどではなくてもっと曖昧な表情で表現して欲しかった。緊迫した展開の後半に比べて前半の展開が少し浮ついていると感じた。
観たのは2003年のDVD版で、モノクロ映画なのになぜだか字幕の縁に赤みがある。字幕に「サプライズ人事」「ゴリ押し」など現代的とも取れるような言い回しがあって、気分的に多少引っかかりがあるとはいえ分かりやすくて良かったと思う。
コーエン兄弟監督作品の「未来は今」に本作のプロットと似ている箇所がある。