作品概要
久米田康治の漫画を原作とする新房昭之監督によるシャフト製作のブラック・コメディアニメ。『さよなら絶望先生』シリーズの第1期。
スタッフ・キャスト
- 公開
- 2007年
- 原作
- 久米田康治
- 監督
- 新房昭之
- シリーズ構成
- 金巻兼一
- キャラクターデザイン
- 守岡英行
- 出演者
- 糸色 望:神谷浩史、風浦可符香:野中 藍、木津千里:井上麻里奈、小森 霧:谷井あすか、常月まとい:真田アサミ、木村カエレ:小林ゆう、関内・マリア・太郎:沢城みゆき、小節あびる:後藤邑子、日塔奈美:新谷良子、藤吉晴美:松来未祐、臼井影郎:上田陽司、久藤 准:水島大宙、新井智恵:矢島晶子、糸色 倫:矢島晶子
- 音楽
- 長谷川智樹
- アニメーション制作
- シャフト
感想・レビュー(ネタバレあり)
一癖ある女の子たちが織りなす学園ブラック・コメディ
新房監督×シャフト制作により細かくカットをつないでいく独特の映像テイスト。主人公の糸色望=絶望先生をメインに、主要キャラクターの女の子たちがひとりずつフィーチャーされ紹介されていくようなエピソード展開。女の子のうちの何人かが先生を好きになってしまうあたりには、ハーレムアニメのような様相も見てとれる。
ポジティブ少女・風浦可符香の記号的なキャラクターデザインやキュートな声、本心の見えない不気味な人格が”闇カワイイ”。新井智恵先生と小森霧の絡み、木村カエレのパンチラなどにより頻出するアイキャッチが妙に色っぽい。作中で使用される効果音などにもこだわりが感じられるが、中でも音無芽留の携帯音「メルメル」が映像の雰囲気づくりにも貢献していて秀逸だった。
良識ある人間なら「ドン引き」する際どい風刺ネタ
女の子たちが物語を引っ張っていくとはいえ、もっぱら作品の主軸はパロディや風刺によるブラック・コメディである。それらには作者の嗜好が強く反映されていて、中には際どい社会風刺や時事ネタなども含まれている。芸能人や文化人、スポーツ選手、特定の国家や宗教などを冷笑するようなギャグは、万人が笑って楽しめるような内容とは言えないだろう。
『ドラゴンボール』並にハマった声優キャスティング
キャラクターは原作の平面的な作画よりも少し厚みがあり立体的に描かれている。声優のキャスティングは周到で、糸色望(神谷浩史)や風浦可符香(野中藍)の声をメインに、時折挿入される関内・マリア・太郎(沢城みゆき)の声が癒やしになっている。ジャンルは違えど『ドラゴンボール』のように、声優キャスティングによって漫画原作の魅力が増幅されたアニメ化作品のひとつといえるだろう。
サプライズな変化を見せるオープニング曲・エンディング曲
大槻ケンヂや絶望少女達こと女性声優陣のボーカルによるオープニング曲『人として軸がぶれている』とエンディング曲『絶世美人』は、いわゆる販促のためのJ-POPではなく、作品テイストの色濃いオリジナル・アニメソングであり、作品を語る上で欠かせない要素となっている。
また、オープニング曲の映像は序盤のエピソードこそ黒塗りであるが、エピソードが進んだのちにブラックユーモア満載の豪華なアニメーション映像に切り替わるようになっており、最初のバージョンの黒塗りは決して手抜きではないことが分かる。その他にも数話のみで使用されるオープニング曲『強引niマイYeah〜』があり、オープニング曲やエンディング曲にサプライズな変化が用意されていることも本作の売りのひとつと言えるだろう。