山椒大夫

評価
★★★☆☆ 3
公開
1954
製作国
日本

作品概要

森鴎外の小説を元にした溝口健二監督によるドラマ映画。

スタッフ・キャスト

公開
1954年
製作国
日本
監督
溝口健二
脚本
八尋不二、依田義賢
製作
永田雅一
出演者
田中絹代、花柳喜章、香川京子、進藤英太郎、河野秋武、浪花千栄子
音楽
早坂文雄
撮影
宮川一夫
編集
宮田味津三

感想・レビュー(ネタバレあり)

良家の出ながらも人買いに騙されて引き裂かれ、荘園しょうえんの悪辣な領主の元で奴隷として苛烈な生き方を強要された兄妹の厨子王・安寿と、離れ離れになってしまった母親との家族の物語を描く。原作と違って本作では厨子王が年長、つまり兄であり、安寿はその妹である。

物語は単純で、脚本にはやや漫画的で嘘くさい部分もある。厨子王が奴隷として10年も働かされ、長くまともな教育を受けていないにも関わらず、国司に就いたあとすぐに馴染んでその職をこなしているのは不自然だ。また、厨子王は奴隷を開放するお触れを出し、山椒大夫を捕らえたあとすぐにその地位を退いてしまうが、後任者がそれを引き継がなければ元の木阿弥ではないだろうか。大規模な改革をメインに描く物語でもない限り、世の中のあり方が長い年月をかけて変わっていくのを待つしか本当の意味での救いは無いというところにこそ、深い悲哀の物語があると思うのだが。

ラストの海岸でのロケーション撮影はその構図とともに目を見張る映像になっている。安寿の入水シーンにも評価が集まっているようだ。しかし、雨露を凌ぐための藁を集める場面のように、照明に人工的な不自然さが残るシーンもある。

海岸のシーンでは、母親を演じた田中絹代への評価が高いようだが、このシーンの演出は作為的だし、よく見ると演技にわざとらしさもあり、それほどのものではないだろう。配役が良いかどうかは別にすると、演技では厨子王を演じた花柳喜章はなやぎ よしあきが良い。

古い時代の作品なので台詞が非常に聞き取りにくい。できれば日本語字幕の付いたソフトでの鑑賞が望ましいだろう。

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