オデッセイ

評価
★★★★☆ 4
公開
2015
製作国
アメリカ

作品概要

アンディ・ウィアーのSF小説『火星の人』を原作とする、リドリー・スコット監督によるSF映画。

スタッフ・キャスト

公開
2015年
製作国
アメリカ
監督
リドリー・スコット
脚本
ドリュー・ゴダード
原作
アンディ・ウィアー『火星の人』(ハヤカワ文庫SF)
製作
サイモン・キンバーグ、リドリー・スコット、マイケル・シェイファー、マーク・ハッファム、アディタヤ・スード
出演者
マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ、マイケル・ペーニャ、ショーン・ビーン、ケイト・マーラ、セバスチャン・スタン、アクセル・ヘニー、キウェテル・イジョフォー
音楽
ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影
ダリウス・ウォルスキー
編集
ピエトロ・スカリア

感想・レビュー(ネタバレあり)

宇宙船の外装・内装などの美術を精細に映し出す映像

こだわり抜かれた美術を精細に映し出す映像が素晴らしい。宇宙船や基地の内装、宇宙服などの小道具も良いが、画面をゆっくりと横切る宇宙船の外装には特に目を奪われる。現代的でシンプルな表現の映像の中には、早回しやカリカチュアされた俳優の演技などコミックのようなテイストも見られる。

物語に登場するディスコミュージックを劇伴へと昇華

音楽は悪くは無いが、たとえば作品冒頭で突起物が刺さった傷口から破片を取り出すだけの場面を大仰なBGMで煽るなど、冗長な場面もあって抜かりがないとは言えない。

また、音楽にポップスが多用されていて、物語の中で主人公が音楽をかけているという場面も多い。船長が置いていった唯一の音楽ファイルがディスコミュージックだけだったという話の流れで、それらの音楽を劇伴として作品テイストに組み込むアイデアが面白い。

SF作品内で台頭する中国

作中に中国の助けを借りる場面があり、昨今のハリウッド映画の「中国上げ」を憂うレビューも多いようだが、この台本は原作通りのようだ。現実と照らし合わせてみても、あり得ない表現というのものでは無いだろう。

一部の俳優本位の台本に違和感も

火星に取り残されてもなお生きながらえようともがく主人公ワトニーが、抱えてしまったストレスを吐き出す場面が何度か見られ、マット・デイモンの演技も併せて作品の良いアクセントになっている。

物語のヤマ場では、船外作業の得意なクルーを差し置いてジェシカ・チャステイン演じる船長自らが船外に飛び出し彼の仕事を横取りするという、違和感を拭えないシーンがある。キャラクターではなく俳優に大きな役割を与えんとするあまり作品のリアリティが損なわれてしまった。また、中盤で主人公とヘルメス号の船員がメッセージのやり取りを始める場面では、船長の顔の演技がフィーチャーされている。あとあと彼女が重要な役割を担うことになる筋書きを知らない観客にとっては、こちらも違和感の残るシーンになるだろうか。今作では俳優があくまで物語を引き立てるための役に徹していたところが作品の魅力にもなっているため、これらのシーンの不自然さが余計に際立ってしまった。

『ロード・オブ・ザ・リング』や『アイアンマン』などのパロディネタ

『ロード・オブ・ザ・リング』でボロミア役を演じたショーン・ビーンを交えて同作の原作『指輪物語』を引用するギャグシーンが面白い。他にも『アイアンマン』ネタが登場して笑いを誘う。映画では主人公が実際に台詞通りの行動をとるシナリオになっているが、原作小説の『アイアンマン』は台詞のみの登場だったようだ。

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