メッセージ

評価
★★★★★ 5
公開
2016
製作国
アメリカ

作品概要

テッド・チャンの小説『あなたの人生の物語』を原作とする、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSF映画。

スタッフ・キャスト

公開
2016年
製作国
アメリカ
監督
ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本
エリック・ハイセラー
原作
テッド・チャン 「あなたの人生の物語」
製作
ダン・レヴィン、ショーン・レヴィ、デヴィッド・リンド、カレン・ランダー、アーロン・ライダー
製作総指揮
グレン・バスネル、ダン・コーエン、エリック・ハイセラー、トリー・メッツガー、ミラン・ポペルカ、スタン・ヴロドコウスキー
出演者
エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ
音楽
ヨハン・ヨハンソン
撮影
ブラッドフォード・ヤング
編集
ジョー・ウォーカー

感想・レビュー(ネタバレあり)

冒頭から主人公ルイーズ演じるエイミー・アダムスの微妙な演技の顔アップの連続で、作品の出来が不安になったが、徐々にそれにも慣れて物語に惹き込まれていった。宇宙船が現れてからニュース映像にその全容を見せてくれないのは、もったいつけようという作為が分かりやす過ぎるか。

防護服の着用や予防接種などをひとつひとつ見せていくことでリアル志向を演出していることがうかがえる。『プロメテウス』や『コヴェナント』の船員たちにも見せてやりたいよ!と思っていたらやはりこちらも防護服を脱いでしまったか。

宇宙人のデザインは任天堂のゲーム『ゼルダの伝説』シリーズに出てくる「フロアマスター」を真っ先に思い出させた。無機的デザインで表現される今作の宇宙船・宇宙人は物語のテーマを邪魔しないという点で良かった。知的生命体が「タコ」みたいなデザインであることに否定的な意見もあるようだが、未知の生物が「こうあるべき」というのは概して人間の主観によるものなのであてにならない。

今作では、デザイン・映像テイスト・編集、制作に関わるすべての要素が物語のテーマを表現するために帰結しているのが良い。

物語の中で宇宙人との対話は少しずつ進歩を見せていくことになるが、映画という媒体の時間の制約からなのかその詳細な過程を見せていない部分も多い。短い台詞やカットで「見せていない部分でも研究を進めている」ことを表現していて、上手くいっていたように思う。

好戦的に描かれている国は悪者にされていて可哀想だなと思っていたら、最後まで観ると正反対だったか。

母娘のコミュニケーションをフラッシュバックとして見せることで、映像作品におけるミスリードとも取れるような表現がされていてそれが上手くいっていた。また、それが作品の冒頭にも挿入されていることで「これはヒューマンドラマ作品だ」ということを観客が最初に知ることができるようになっている。

自分の理解力が足りないのかSF部分では理解できない部分が多かった。結局のところ未来は変えられるのか、変えられないのならば現在を努力する必要があるのか。言語を知ると考え方が変わることがあったとしても、なぜ宇宙人の言葉を知ったことで過去現在未来を超越できるようになったのか。ルイーズが中国の将軍から電話番号を聞いた場面では、その平和な世界をどのように手に入れられたのか(主人公は初めて聞いたような反応を見せている)。

娘の末路を知ったうえでその未来を受け容れる主人公に共感できるかどうか、意見は割れているようだ。娘の側の苦しみが今作では描かれていないことも原因だろうか。最愛の人のひとりをその存在ごと無かったことにしたいか、それとも相手を失うことを知ったうえで出会いたいか。あくまで自分本位だが、自分なら迷わず後者を選ぶ。

ドゥニ・ヴィルヌーヴの作品一覧2