作品概要
ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督、マイケル・アーント脚本によるコメディー映画。ミスコンに出場することになった少女オリーヴとその家族たちが様々なトラブルに見舞われながら会場を目指すロードムービー。アカデミー脚本賞受賞作品。監督はミュージックビデオ畑出身で長編映画はデビュー作となる。
スタッフ・キャスト
- 公開
- 2006年
- 製作国
- アメリカ
- 監督
- ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
- 脚本
- マイケル・アーント
- 製作
- マーク・タートルトーブ、デヴィッド・フレンドリー、ピーター・サラフ、アルバート・バーガー(英語版)、ロン・イェルザ(英語版)
- 製作総指揮
- ジェブ・ブロディ、マイケル・ビューグ
- 出演者
- グレッグ・キニア、スティーヴ・カレル、トニ・コレット、ポール・ダノ、アビゲイル・ブレスリン、アラン・アーキン
- 音楽
- マイケル・ダナ
- 撮影
- ティミ・サーステッド(英語版)
- 編集
- パメラ・マーティン
感想・レビュー(ネタバレあり)
今まで何度観たか分からないくらいに大好きな作品。改めて作品を振り返って好きなところをまとめてみる。一番好きなシーンは、(おそらく車内のドウェーンの目線と思われる構図で)立体道路の隙間から覗く空を映したシーン。それからオリーヴがふてったドウェーンの肩に手をかけるシーン、ラストシーンの最後のカットとエンディング後の余韻も好き。音楽は既発のポップスだけれどスコアとして再編されていて作品にも合っている。サントラも買ったよ。
この作品で好きなのは家族もののロード・ムービーなのに「誰がいたおかげで」というありそうなプロットが無いところ。むしろ「誰がいたせいで」ということの繰り返しになっている。会場についたときに叔父のフランクが全速力で(変な走り方で)受付まで走るシーンがあるけれど、このシーンですらオリーヴたちがすぐに追いついているし、「フランクが走ったおかげで間に合った」というプロットになっていない。上で挙げたオリーヴが「何か言ってあげて」と言われてドウェーンのそばに無言で寄り添うシーン、ここでも「オリーヴが何か言ったおかげで」になっていない。一点だけ、コンビニで買った雑誌があとで役に立つという普通のプロットもある。コメンタリーを観て分かったけれど制作途中で脚本に加えたとのこと。
悪人が少ないことも見過ごせない。コメディーなので人間同士のトラブルはつきものだけれど、みんなそれぞれの都合で生きているだけで悪気はない。でもコンテストの主催者がありがちな悪人キャラとして描かれているから、いないとはいえないかな。
もうひとつ好きなのはエンディングで、最初と比べて何一つ良くなっていないこと。こっちもむしろ悪くなったことがほとんど。安易な成長や変化の物語になっていない。コメンタリーによるとこれも最後までどうするかかなり悩んで決まったシーンらしい。観るひとによっては物語を通して家族の絆が深まったと解釈するみたいだけれど、自分の解釈としては最後のあれくらいの仲の良さはこの物語以前から当たり前のようにあったんじゃないかと思っている。ドウェーンが取り乱したシーンで、オリーヴが来た後に気を持ち直して車に戻るところや、家族に対して怒鳴ったことを謝るセリフに集約されていると思う。仲が悪くなったり喧嘩をしたり、それはそのときだけのもので、長く付き合わなければいけない家族の特別な関係なんて良いほうにも悪いほうにも簡単に大きく変わるものじゃない。
「ペーパームーン」へのオマージュがみられる。車を押すという脚本とラストカット。
不満な点を少し。ドウェーンが母親シェリルの連れ子だということが分かりにくい。字幕にも不満。自分は英語がさっぱり分からないので字幕か吹き替えで観るのだけれど、字幕に明らかに不自然なところがいくつかある。
Blu-rayと、コメンタリーのためにDVDも買った。まだまだ何回も観返すだろうな。