作品概要
マーク・ミラー、デイヴ・ギボンズのアメリカンコミック「キングスマン:ザ・シークレット・サービス」を原作としたマシュー・ヴォーン監督によるアクション映画。
スタッフ・キャスト
- 公開
- 2015年
- 製作国
- イギリス
- 監督
- マシュー・ヴォーン
- 脚本
- ジェーン・ゴールドマン、マシュー・ヴォーン
- 原作
- マーク・ミラー、デイヴ・ギボンズ 『キングスマン:ザ・シークレット・サービス』
- 製作
- マシュー・ヴォーン、デヴィッド・リード、アダム・ボーリング
- 製作総指揮
- マーク・ミラー、デイヴ・ギボンズ、スティーヴン・マークス、クローディア・ヴォーン、ピエール・ラグランジェ
- 出演者
- コリン・ファース、サミュエル・L・ジャクソン、マーク・ストロング、タロン・エガートン、マイケル・ケイン
- 音楽
- ヘンリー・ジャックマン、マシュー・マージェソン
- 撮影
- ジョージ・リッチモンド
- 編集
- エディ・ハミルトン、ジョン・ハリス
感想・レビュー(ネタバレあり)
アクションは力作だとしても「ただの一般人」をなぎ倒すところを見せられたところで興奮はできない。どうせ超人が”無双”するだけだからそれほどスリルを感じなかった。敵の陰謀は漫画ではよくあるようなありきたりなものだし、スパイ映画なのに秘密兵器の中に新しい魅力のあるものが無くてワクワクさせられなかった。映像は滲んでいて、血は「キック・アス」のときと同じオレンジっぽい色。
無情に人が死んでいく作品の中では「誰が絶対に死んではいけないキャラクターなのか」を観客に知らせる必要がある。そのように描かれたキャラクターに危険が迫るシーンでは観客がハラハラさせられてそこにスリルが生まれるし、描き方が中途半端だと観客はどのような気持ちでそのシーンを観ていいか戸惑うことになる。本作でそのように描かれていたキャラクターはハリー(ガラハッド)、エグジーとその家族だけだったと思う。エグジーと同じ試験を受けてきていつ脱落するかも分からなかった女の子”ロキシー”がクライマックスで危険に晒されたところで観客はハラハラするだろうか?ロキシーをそのような特別なキャラクターだと観客に認識させる工夫が足りなかったように思う。
世界が危険に晒されている状況で、主人公エグジーが家族にだけ特別な指示を出す脚本にも少し疑問が残る。家族に危険が迫るシーンは、あくまで世界で起こっている悲劇の分かりやすい一例として描くに留めたほうが良かった。
さんざん試験をやってきて脱落したエグジーが、緊急事態とはいえ組織(実際にはその中のひとりであるマーリン)にあっさりと認められる脚本は腑に落ちない。最終試験の内容の意味もよく分からない。空砲とはいえ犬に発砲したロキシーを心から応援できなかった。
俳優ではマーク・ストロング、コリン・ファースが良かった。サミュエル・L・ジャクソン演じるヴァレンタインは小物に見えてしまってラスボスとしての怖さが無かった。
「キック・アス」のセルフパロディのようなシーンがいくつかあったように思う。マーク・ストロングが映像を観て愕然とするシーン、アンディー・ウォーホルの絵など。それほど作品数の多くない同監督がセルフパロディをやるのは早すぎでは?パロディーをやるとどうしてもそのターゲット作品より下回って見えてしまう。