宝石の国

評価
★★★☆☆ 3
公開
2017

作品概要

市川春子の漫画を原作とする京極尚彦監督によるファンタジー・アクションCGアニメ。

スタッフ・キャスト

公開
2017年
原作
市川春子
監督
京極尚彦
シリーズ構成
大野敏哉
キャラクターデザイン
西田亜沙子
出演者
フォスフォフィライト:黒沢ともよ、シンシャ:小松未可子、ダイヤモンド:茅野愛衣、ボルツ:佐倉綾音、モルガナイト:田村睦心、ゴーシェナイト:早見沙織、ルチル:内山夕実、ジェード:高垣彩陽、レッドベリル:内田真礼、アメシスト84:伊藤かな恵、アメシスト33:伊藤かな恵、ベニトアイト:小澤亜李、ネプチュナイト:種﨑敦美、ジルコン:茜屋日海夏、オブシディアン:広橋 涼、イエローダイヤモンド:皆川純子、ユークレース:能登麻美子、アレキサンドライト:釘宮理恵、金剛先生:中田譲治
音楽
藤澤慶昌
アニメーション制作
オレンジ

感想・レビュー(ネタバレあり)

主人公フォスフォフィライトを筆頭にキャラクターがほぼ少女のみで、少女同士の友情や愛情が描かれる「萌え作品」に、月人(つきじん)との戦いというダーク・ファンタジーをかけ合わせたような作品。映像はCGで描かれ、色彩や音楽によって個性的なテイストが創造されている。連載中の原作漫画の1クールでのアニメ化ということで、描かれる物語は序章といったところか。シナリオの一角を占める少女たちの萌えアニメ的なコミュニケーションや、ティーン向け作品のような感傷台本を楽しめる視聴者は限定的だろう。

少女たちの体が宝石で出来ているという設定をいいことに、少女の肉体損壊を好き放題に描いているところが面白い。体が鉱物なので流血もなく、血生臭さを一切排除したグロ描写になっている。破損した体が修復可能な、いわゆる不死者たちによる戦いなので、サバイバル・アクション作品としてのスリルはあまり無い。月人にさらわれた仲間が救出可能であるかどうかは明かされないが、たとえ仲間を失っても、人間が死ぬ作品ほどの絶望感は無い。

ディストピア世界のコロニーで生き残りを賭けて謎の異邦人との戦いを描くというプロットは、あまりにも『進撃の巨人』に似すぎてはいないか。そちらも同じ講談社の漫画作品だが、まだ連載中の同作品に影響は無いのだろうか。作品冒頭で提示される常識があとになって覆されていくミステリー要素で物語を引っ張るところも同じだ。

物語の中の人物は固定人数のようだが、全てが最初から揃っているわけではなくて小出しに登場していく。魅力的なキャラクターとして描かれていたのはアンタークチサイトだが、彼は登場してから早々に物語から退場してしまう。自身のせいで彼を失ったフォスフォフィライトはその責め苦にあえぐことになるが、そのためにシンシャとの友情物語が希薄になってしまった。体の一部を失うと記憶も霞んでいくという設定の中で、フォスのショッキングな言葉として発せられる「シンシャって誰だっけ」という台詞は、出番の少なくなった彼を忘れてしまった視聴者の感情と重なって聞こえてしまう。

CGは本作の雰囲気に合っており、技術的な制限による違和感は少ない。アングルを変えながら人物の動きを高速で追従するアクション作画は、迫力はあるが表現が一辺倒でパターン化し過ぎている。貝の王ウェントリコススの”乳揺れ”が滑らかに表現できるのもCGならではの利点か。

声優のキャスティングは萌えアニメ作品寄りなのか、ストーリー作品として良いとはいい難い。フォスフォフィライト(黒沢ともよ)の演技があまりにもひどい。長台詞は聞くに堪えないし、フォスの台詞が少ない回は他の回に比べて出来が良く見えてくるくらいだ。また、中性的キャラクターたちを女性声優に男声(おとこごえ)で演技させる演出にも無理があるだろう。

劇中音楽と音楽の使い方が良くて、作品の雰囲気の調和が取られている。オープニング曲はハイスイノナサの照井順政氏による楽曲で、彼の作る硬質な音楽テイストが鉱物を題材にした本作にマッチしている。