天元突破グレンラガン

評価
★★★☆☆ 3
公開
2007

作品概要

今石洋之監督、GAINAX制作によるロボットアニメ。

スタッフ・キャスト

公開
2007年
原作
GAINAX
監督
今石洋之
シリーズ構成
中島かずき
キャラクターデザイン
錦織敦史
メカニックデザイン
吉成曜
出演者
シモン:柿原徹也、カミナ:小西克幸、ヨーコ:井上麻里奈、リーロン:小野坂昌也、ヴィラル:檜山修之、ブータ:伊藤 静、ダヤッカ:中村大樹、キタン:谷山紀章、キヨウ:佐藤利奈、キノン:植田佳奈、キヤル:阿澄佳奈、ロシウ:斎賀みつき、ギミー:本田貴子、ダリー:伊藤 静、ニア:福井裕佳梨、チミルフ:梁田清之、アディーネ:根谷美智子、シトマンドラ:陶山章央、グアーム:川久保 潔、ロージェノム:池田成志
音楽
岩崎琢
アニメーション制作
GAINAX
製作
テレビ東京、KDE-J、電通、ANIPLEX

感想・レビュー(ネタバレあり)

細かい理屈抜きの勢い重視の脚本

ポップなデザインの絵が目まぐるしく動くギャグテイストの多いキッズ&ティーン向けロボットアニメ。ロボットは物理法則を無視して変形しまくるので理論性が皆無。勢いのみで強引に突っ走る脚本とテンポの良い編集から作られた映像が観るものに特別な快感を与えてくれる。細かい理屈は意図的に脚本から排除されていることが伺えるだろう。

顔の手足が生えたメカ「ガンメン」とドリルで合体するロボットの魅力

「ガンメン」と呼ばれる顔の大きなメカたちは一見するとダサく見えるのだが、作中で執拗に描かれる「顔」は、「ドリル」や「螺旋」と併せて作品世界を象徴する構成要素になっているようだ。このガンメンのデザインに慣れてくると、物語後半に登場する新型ガンメン・グラパールが無個性で魅力のないものに見えてくる。

また、主人公が搭乗する機体であるグレンラガンがドリルを用いて合体して大きくなっていくというところに、この作品のロボットの魅力が集約されている。ドリルは毎回合体時に機体に穴を開けるが、このがさつな破壊行為も作品のテイストとして活用されている。

グレンラガンの「ふたり乗り」設定は消化不良

グレンラガンは二人で搭乗するロボットだが、搭乗者同士の精神的シンクロ率などが性能に影響することは少ないようで、この設定はあまり活かされていなかった。主人公シモンがグレンラガンをひとりで動かしてしまう場面にはがっかりさせられた。また、後半にシモンと宿敵ヴィラルが一緒に搭乗するという展開には胸が熱くなったが、特に前触れもなくふたりの息が合いすぎているように思う。

作品テイストの異なる7年後の世界を描いた後半のエピソード

シナリオは前述通りに、細かい理屈はどうでも良くて勢いさえあればいいというような脚本に沿って展開される。子供向け作品にありがちなジメジメした主人公の葛藤や成長を描くエピソードなどもあるが、それでも作品前半はギャグを織り交ぜてテンポの良い映像で視聴者を楽しませてくれる。

しかし、7年後を描いた後半のエピソードではシリアス色が強くなり、他のアニメでも見られるようなありきたりな作風に成り代わってしまう。作品のプロットは最初から練りに練られたものであろうが、シモンに対して国民が急速に反発していくシナリオや、アンチ=スパイラル側の人間であるニアが螺旋王の娘に生まれたことが「偶然」であることなど、強引な展開もある。

7年後になってからキャラクターデザインが成長したものに変わっているが、顎が立派過ぎたりしてあまり格好良くも可愛くもないことも気になる。オープニング曲ではカミナが最初から居なかったかのように消されてしまっているのが残念だった。

後半から数話を経てヨーコの回想エピソードが挟まれるが、メインのシナリオの続きが気になっている視聴者が望んでいるものではないし、挿入箇所も良くない。どうしても挿れたいというのであれば、7年後になってから最初のエピソードが良いだろう。ヨーコのメガネは似合っていなかった。

見せ場を作られたキャラクターは死ぬ

死ぬ予定の仲間を持ち上げるというシナリオは安易ではないだろうか。キタンにどんどん死亡フラグが立っていく台本には違う意味で悲しくなった。した相手が必ず死ぬというヨーコのキスは「死の接吻」のようだ。後半のキタンは「劣化カミナ」のようで報われないキャラクターだった。

割を食う引き立て役のキャラクターたち

作品全般に言えることだが、キャラクターをひとり描こうとする際に、別の誰かが引き立て役として据えられる台本が多く、そのせいで引き立て役のキャラクターが株を下げるという結果を招いてしまっている。たとえばニアに嫉妬するヨーコなどがそれにあたる。キャラクターが生きていて人間味を感じさせるというようにはいかず、あくまで他人を立てるために台本の都合で「下げ」られている気がしてならないのだ。

放送時に炎上した「4話」の低クオリティー

作画では最初の数話と、15話の螺旋王との戦いや、14話のカミナの墓標の前でシモン、ヨーコの衣装が風にたなびくシーンなどが良かった。

大不評を買ったとされる4話の出来は確かにひどい。開始数分で目を疑うほどに出来が悪かった。顔の絵が下手くそだし、口の動きもおかしい。映像の流れも不自然で、「作画崩壊」か否かを議論する以前の問題だ。放送時には制作会社の社員が作品に批判的な視聴者への雑言を書き込むなどして炎上騒ぎに発展したようだ。他にも7話の映像や9話の絵、25話のシナリオなど出来の良くない回もあり、品質には多少のバラつきがあった。

リーロンの安定感とヨーコのナイスバディ

キャラクターではリーロン(小野坂昌也)が一貫して良く、声も素晴らしかった。リーロンが全編を通して主人公の側近として据えられていたら、もう少し作品が大人にも観られるような締まりが出たように思う。アーテンボロー(名前の由来は『銀英伝』のアッテンボローだろうか)の慌てん坊キャラもユニークで面白かった。目線を釘付けにしてくれるヨーコの抜群のスタイルは言わずもがなか。カミナの刺青は海外でどういう扱いをされたのかが気になる。

エピソードごとに描かれたユニークなアイキャッチ

エピソードのタイトルが作中の台詞になっていて、予告はその台詞を発する人物の声で読まれるというのが面白い。

放送時にはAパートとBパートの間にアイキャッチが挿入されていたようだ。こちらはエピソードごとに異なるユニークなものなので、できればアイキャッチが観られる媒体で視聴したほうが良いだろう。

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