作品概要
士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』を原案とするルパート・サンダース監督によるSF映画。
スタッフ・キャスト
- 公開
- 2017年
- 製作国
- アメリカ
- 監督
- ルパート・サンダース
- 脚本
- ジェイミー・モス、ウィリアム・ウィーラー、アーレン・クルーガー
- 原案
- 士郎正宗 『攻殻機動隊』
- 製作
- アヴィ・アラッド、アリ・アラッド、スティーヴン・ポール、マイケル・コスティガン
- 製作総指揮
- 石川光久、藤村哲哉、野間省伸、ジェフリー・シルヴァー
- 出演者
- スカーレット・ヨハンソン、ピルー・アスベック、ビートたけし、ジュリエット・ビノシュ、マイケル・ピット、チン・ハン、ダヌーシャ・サマル、ラザルス・ラトゥーエル、泉原豊、タワンダ・マニーモ
- 音楽
- クリント・マンセル、ローン・バルフェ
- 撮影
- ジェス・ホール
- 編集
- ニール・スミス、ビリー・リッチ
感想・レビュー(ネタバレあり)
漫画は未読。押井守版劇場アニメ2本と神山健治版アニメは鑑賞済み。原作の信奉者ではないので原作に肩入れをするつもりは無いし、少佐をスカーレット・ヨハンソンが演じていてもビートたけし氏だけが日本語を喋っていても全然構わず、映画だけの独立した作品を期待して観た。
凝ったCGを見せたいだけの中身のないSF作品
CGが豪華なVシネマみたいな作品。CGに凝りたいという願望だけが先行してしまって脚本には中身が無い。物語はアニメ版の導入部分をクローズアップしただけのような、SF作品としてはありきたりの内容。
インパクト重視で派手なだけのリアリティーの無い未来都市
町並みは『ブレードランナー』を強く意識したと思われるデザインになっている。未来都市は現代の人々が望む方向に変化していってしかるべきなのに、今作のそれはただインパクト重視で派手にごちゃごちゃさせただけのようでリアリティーが皆無。『ブレードランナー』のような自然な寂れが無く、『エイリアン』のような舞台の使用感も全く感じられない。
重火器には目新しさが無くアクションは凡庸
町並みだけがド派手になっている一方で重火器は進歩していないことに違和感が残るし、そのせいでアクションには新しい魅力が全く無い。アクション中のスローの演出は全く美しくなかった。作品のヤマ場で装甲車の蓋を自分の腕ごと引きちぎるカットは良い。
爆弾による被害に見舞われるシーンを何度見せられたか。これなら爆弾対策がもっと進化していてもおかしくないのでは。
主人公が外に出ていって敵に捕らえられることを繰り返すだけの脚本にはうんざりする。
内容と乖離して浮いてしまった映像を見せられるだけ
映像を描きたいということだけが先走っていて内容と噛み合っていない。少佐がビルから後ろ向きで飛び降りる必然性を与えられていないのに、その演出を2度も見せられる。映像と内容の乖離は、ただの脇役である荒巻が敵のボスを撃つだけのシーンに、水が飛び散る派手なスロー演出を被せているところに最も顕著に見られる。
電脳世界を人型で移動する演出が拙く見える。この表現はアニメの中だけで許されるもののようだ。
空撮カットや構図、エンディング間際のモノローグ演出など、『ダークナイト』の模倣が多すぎる。リストの人員が殺人のターゲットにされるというプロットもおそらくそうだろう。
音楽はありきたりで俳優の演技はバラバラ
映像は派手なのに音楽はいたって普通で凡庸。映像はざらつきのないツルッとしたテイストで、不必要にヨーロッパ風に見えるところもあった。
今作でのスカーレット・ヨハンソンの演技はあまり良くない。ジュリエット・ビノシュの演技はドラマ作品のようで映像にマッチしていない。ビートたけし氏の演技は任侠作品のようだった。桃井かおり氏の演技は英語の発音も併せて良かったように思う。