ブレードランナー

評価
★★★★★ 5
公開
1982
製作国
アメリカ

作品概要

リドリー・スコット監督によるSF映画。

スタッフ・キャスト

公開
1982年
製作国
アメリカ
監督
リドリー・スコット
脚本
ハンプトン・ファンチャー、デヴィッド・ピープルズ
原作
フィリップ・K・ディック 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
製作
マイケル・ディーリー、チャールズ・デ・ロージリカ(ファイナル・カット)
製作総指揮
ブライアン・ケリー、ハンプトン・ファンチャー、ジェリー・ペレンチオ(クレジットなし)、バッド・ヨーキン(クレジットなし)、邵逸夫(クレジットなし)
出演者
ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング、エドワード・ジェームズ・オルモス
音楽
ヴァンゲリス
撮影
ジョーダン・クローネンウェス
編集
テリー・ローリングス、マーシャ・ナカシマ

感想・レビュー(ネタバレあり)

久しぶりに鑑賞。ファイナル・カット版で観るのは初めて。全編に蔓延る陰鬱さと寂寥感が、滲み入るような味わいを残している。哀愁を帯びた透明感のあるヴァンゲリスによる音楽は作品テイストを柔らかく上品に調整するかのようだ。ハードボイルドタッチの作風は過去の良質な作品に正しく倣い王道をいくようでもある一方で、本作が残す独自の世界観を模倣した作品は枚挙に暇がないだろう。

本バージョンでは特撮部分がブラッシュアップされているようで、ところどころ映像が綺麗すぎて通常の撮影部分の画質との統一感に欠けていると感じるところもある。目のくらむようなネオンや広告がまたたく雑多な町並みは新宿歌舞伎町を参考にデザインされたという。雑踏の中の日本語が交じる喧騒には、ふとセガのアクションゲーム『龍が如く』シリーズを思い出してしまう。無法地帯とも思えてくるこの風景には、周囲の人々のデッカードたちに対する無関心さに説得力を持たせる役割もあるようだ。

いくつかある暴力シーンはインパクトが強くてカルト作品のワンシーンのようにも見えてくる。バージョン変更の際にそのバージョンのポリシーに従って削除されたり復元されたりしているらしい。一方セバスチャンの死はTVアナウンスによって説明されるに留まっている。博士が殺されたあとに同じようなシーンを繰り返して観客を退屈させるようなことをしないこと、アンドロイドたちと触れ合った人間味のあるキャラクターが殺害されるという残酷すぎるシーンを見せないことを踏まえる脚本づくりのセオリーということか。と思いきやセバスチャンが殺されるシーンを含む版の脚本もあったようで、ト書きを見るとそちらもなかなか興味深い。また、セバスチャンがわざわざ夜にチェスの一手を指しにいくことを受け入れる博士の変人っぷりを描くことで作品の雰囲気に味が付けられている。

ロイやプリスの言動は人間の子供のようにも見えるようになっている。「俺たちはロボットじゃない」の台詞に悲哀が含まれていて涙を誘う。また、物語の後半にロイが出会ったばかりのデッカードの名前を知っていてその名前を呼ぶシーンがあり、そのことがロイたちが自分たちを追跡し仲間を殺していくデッカードに注目していたことの説明になっている。

空に浮かぶ車の未来的デザインが魅力的。一方でデッカードの持つ短銃のSFデザインは過剰にならずにさり気なくてリアリティーを醸し出している。

本作の前後にインディー・ジョーンズで主演を務めるハリソン・フォード演じるデッカードが蛇と退治するシーンには思わず笑ってしまった。インディーと違ってデッカードには蛇が苦手という性質は無いようだ。

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