安寿と厨子王丸

評価
★★★☆☆ 3
公開
1961

作品概要

藪下泰司、芹川有吾監督によるドラマアニメ映画。

スタッフ・キャスト

公開
1961年
監督
藪下泰司、芹川有吾
脚本
田中澄江
出演者
佐久間良子、住田知仁、北大路欣也
音楽
木下忠司、鏑木創
製作
大川博

感想・レビュー(ネタバレあり)

人買いに売られ、山椒大夫の元で奴隷働きをさせられることになった姉弟・安寿と厨子王丸の悲劇の物語を描く。物語は元になった「さんせう太夫」に比べて子供にも触れやすいように改変されているようで、むごい拷問などの直接的な暴力シーンは見当たらない。アニメ化に当たっては厨子王丸の山椒大夫への報復の台本がカットされているようだ。アニメ版は、ディズニーを彷彿とさせるような半擬人化した動物たちのコミカルな演技もあってか、比較的親しみやすい作風となっている。

子供向けに改変されているとはいえ、やはり本作でも安寿は池に入水して亡くなってしまう。池の大きさなどをが最も美しくなるように自由に描けるのはアニメならではの強みか。死んでしまったショックを少し和らげるかのように、安寿は白鳥に変わって空へと飛び立つ。侍女の菊乃も海へと落ちて亡くなってしまうが、こちらは人魚のような身になって人買いに復讐したり、家族たちを見守って手助けをするというところが面白い。

キャラクターデザインはいかにも漫画的なものではなく、実際の人間に近い形になっている。安寿がことさら美しく、また厨子王丸は純真さが際立つようデザインされている。さらに、キャラクターの動きには、実写撮影された人物を参考に絵を描くライブアクションの手法が取られているため、人物の表情や動きをじっくりと描く実写映画に近い演出のシーンも多い。絵の枚数も多いので、古い作品とはいえ映像はなかなかのクオリティーだ。白鳥となって空を舞う安寿を見上げる厨子王丸の顔のカットが印象深い。また、労働者が運ぶ大木に画面を横切らせてアングルを変えるなど意欲的な映像表現も見られる。コミカルシーンのSEにはやや浮いた表現も見られるが、劇中BGMのスコアは良くて表現の統一が図られている。